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運命のポストロックバンドに出会ったと思ったら、地元のバンドだった―interior palette toeshoes

DAYS

2017.08.28 update.

もう結構前のことになってしまったけれど先日、interior palette toeshoes(以下interior)とgeneral fuzz sound systemのツーマンライブを観にMAIROへ行った。

MAIROに来るのは、前回のinteriorのライブ以来だ。前回と同様、バンドセットはステージではなくフロアのど真ん中に、円形状に組まれていた(客がバンドを囲んで鑑賞するこの形式、ポストロックでは定番なのかな?)。

で、一番のお目当ては学生時代に知って以来追っかけ続けているinteriorの久々のライブだったのだけれど、このライブがもう、すごいとわかってはいたけれどやはりすごかった。

こればっかりはほんと、この場で聴いた人じゃないと言葉だけじゃ伝えきれない…があえて形容するなら「鳥肌が立つほど美しい轟音の嵐」? 「使い古された表現としての『神』ではなく真剣に『神がかっている』」? 「もはや現象」? みたいな。

 

などと言葉を重ねるのも野暮なのでとにかく聴いてくれ

ということで、まずはライブの動画を。

※静と動のコントラスト系ポストロック恒例、覚醒タイムは3:30あたりから

それから、私がinteriorの曲と出会って、音源を手に入れるまで聴きまくっていたMyspaceも聴いてけろ。
特に、このバージョンの音源がもう手に入らないためか全編公開されている処女作、「Traffic Jam」は必聴オブ必聴。

どうこの、ジャジーなピアノと空間的かつエモいギターサウンドが、圧倒されるほどの緊張感とともに奏でる静寂と轟音、どう、どうよ。

 

好みにぴたりとはまるちょうどいいバランス、運命のポストロック

素人の分際で色々と引き合いに出して語って恐縮なのだけれど、

言うなればinteriorは、Mogwai『Come On Die Young』のように良い意味で陰鬱かつタイトな雰囲気を持ち、さらには同アルバムの「Ex-Cowboy」「Christmas Steps」Do Make Say Think『Other Truths』「Do」「Make」Sigur Ros『()』「Untitled 8 (Popplagið)」にもあるような、少しずつ少しずつ高まっていく先に辿り着くノイジーで激情的なギターの轟音、という静と動のコントラストをも持っている。

それでいてハードコア一辺倒でなく、ジャジーなピアノやリズムが合わさることによってtoeにも通じるような叙情的オシャレサウンドをも内包している。

これほどまでに各種要素がバランスよく共存し、しかもどれも私の好みど真ん中な、「ちょうどいい」バンドはない。まさに運命のバンドだ!

…と、久々にインディーロックから掘り出し物を見つけてはしゃいでいた私だったが、その時はまだ知らなかったのである。

その運命のバンドが、実は他ならぬ地元富山で活動しているバンドだということに…。To be continued…

 

「…は? 富山のバンド? …まじで?」

interiorを知った時、私は当時大学生で東京にいたのだけれど、きっかけはたぶんTwitterのとあるフォロワーさんが良いと言っていたのを何気なくググってみた…という感じだったと思う。

上にも書いたけれどまずMyspaceにあったデモを聴いてガツン! とやられ、そのまま朦朧とした頭で音源…音源は出しているの…? すぐ買うから今すぐ買うから! と詳しく調べていたところ、

地元富山のバンドだという震天動地の事実に出くわし、驚きのあまりフリーズしながら思わず口から出たのが上の台詞、という次第である。

言われてみれば、と曲をあらためて聴くと、この「良い意味で陰鬱」な曲調は、富山の冬の、灰色の空と雪で白く塗りつぶされた街を思い起こさせるし、例えばSigur rosの音楽が(実際に見たことはないけれど)アイスランドの冷たく荒涼な大地を想起させるように、interiorの音楽は(無意識的にせよ)富山という土地の空気を吸収して生まれたからこそ存在しえた音楽のように感じた。

実際、interiorのベースの方(@sollaipt)も自虐気味に?「どんよりした土地のどんよりしたバンド」と称していらっしゃるし。

でも、そこも含めて地元がすきなんだよ! と。当時東京にいながら絶賛都会の空気に馴染めなくてホームシック引きこもり中だった私にとって、interiorの音楽は「太平洋側のいつもすっきり晴れてるような灰色というより青色のイメージの冬は私の知ってる冬じゃない、日本海側のいつもどんより灰色の空と重たい雪で街が白と静寂に包まれるようなそんな富山の冬が私はすきなんだよ!!!」と泣き転げまわりたくなるほど郷愁をそそられた。

もちろん、それがなくても十分にinteriorの音楽はたくさんの人の心を揺るがす完成度を持っているとは思うけれど。
ともあれ、私はそんな地元民としての思い入れも大いにありつつ、Myspaceをヘビロテしたのち、それではもちろん飽き足らず、音源とライブを血眼で探し求める立派なinteriorの追っかけファンと化したのだった。

 

とはいえ、インディーズゆえか音源とライブはとても希少なinterior…

ポストロックファン諸兄姉におかれては、ぜひ今すぐ音源を手に入れライブへ赴いてほしい…と言いたいところなのだけれど、残念なことにinteriorの音源は、今のところ単独でのリリースはEPふたつだけ、しかもネット上では3曲ほどしか手に入らない(現在interiorが所属しているTOKEI RECORDSの公式サイトから辿ると、Webショップで新バージョンの「Traffic Jam」1曲が収録されたコンピレーションEPを、bandcampで「snowscape」「she goes upstairs, he goes downstairs 」の2曲が収録された『There EP』を購入できる)。

ライブへ行けば物販でひと通りの音源は手に入るのだけれど、その肝心のライブの頻度も決して多いとはいえない。年に片手あればいい方だ。

しかも、私は地元富山在住という大アドバンテージ(!)を持っているから気軽に行けるが、基本富山を中心とした北陸のハコで演ることが多いので、都市圏にはめったに出没しないという…。

いや、この活動ペースからしておそらくメンバーの皆さんには本業のお仕事があって、その中でライブや音源作りをするのはとても大変なことなんだろうと推察するけれど、一ファンとして、こんなに素晴らしいのだからもっともっとたくさんの人に聴いてほしいという思いもあり。

interiorの真髄は、何といってもやはりライブ。ライブの最新情報は現在TOKEI RECORDS公式サイトやTwitter(@TOKEIRECORDS)で発信しているようなので、気になった人はぜひフォローしてみてほしい。

 

そして…ファーストアルバムのリリース、首を長くして待ってます

こんな大好きなバンドが地元にいることの幸せを甘受しまくっている私だけれど、今後のinteriorに唯一望むことといえば、もう何年待ったかわからないファーストアルバムのリリース。

ライブで演ってくれているどちゃくそカッコいいあーんな新曲やこーんな新曲、そろそろ音源で聴きたいんだけどなー…。公開収録した時の「アルバムの曲」はどうなったのかなー…。そろそろ出してくれない、かなー…(チラッチラッ)。

インテリアパレットトーシューズさん、比較的気長に待ってます♡